vendredi 2 janvier 2009

哲学と科学の接触で思い出したこと



元旦の「哲学的視点からのお話を免疫学会で」という話題に絡んで思い出したことがある。昨年の秋口だっただろうか。内科の検診に行った時の先生との会話である。私がこちらで医学を含めた科学哲学について勉強中であり、日本の科学の学会で哲学について講演する予定であると話した時に、まずフランスで科学哲学を学ぶなどということは素晴らしい、そして科学の分野にそのような働きかけをするのはお互いにとってよいことなので積極的にやるべきだという反応が出ていた。先生はさらに続けて、生活習慣病の学会では哲学的な講演が毎回取り上げられ、その会場は埋め尽くされるという話をされた。科学の学会に哲学が顔を出すというのは珍しいことではなく、フランス(あるいはヨーロッパ)のお医者さんがそれを歓迎している様子を聞き、心地よい驚きが襲っていた。

先生の専門である生活習慣病と言えば、完治は難しい場合が多いので、治すというよりは共に歩むことの方が多くなり、医学の科学的側面以外の要素が求められているためだと理解するとわかりやすい。そこで実際に哲学を取り入れるところまで行くのは行動的である。日本の医学会の状況はどうなっているのだろうか。特に、哲学の側が科学の土俵に出て行って顔を合わせるということはあるのだろうか。医学を哲学や倫理の側面から考えましょうという動きや学会活動があるのは承知しているが、もし孤立しているとすれば実際の医学への貢献は限られるのではないだろうか。

これから注意して見て行きたいが、そろそろ科学者や医学者の集まりで哲学者が直接語りかけたり、逆に科学の側も自然をより深く理解しようとする精神のあり方が求められるような気がしている。もちろん、そのためには哲学は必要がないどころか有害であるという考え方も存在するが、まず対面してお互いを知ることから始めてはどうだろうか。学問を系統発生 phylogenèse の目で見る時、その根には哲学がある。科学者個人の個体発生 ontogenèse にとってもその根を見ることには大きな意味があるように感じている2009年年頭である。



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