vendredi 25 décembre 2009

「学術の動向」を読み、科学がやるべきことを想う


「学術の動向」2009年1月号の新春座談会を読む。タイトルは、 「社会のための科学(Science for Society)」 と 「科学のための科学(Science for Science)」で、ネットに公開されている(PDF)。このタイトルを見て、「科学のための科学」の意義について新たな視点が示されているのかと思って読み始めたが、「社会のための科学」が圧倒しており、「科学のための科学」についての思索の跡はほとんど見られなかった。科学は貢献しなければならないと考えている方が多いようだが、どのような貢献かについては暗黙の了解があり、それは科学の外にいる一般の方と変わらないような印象を持った。それは次のエピソードを読んだ時である。

テレビ・キャスターがノーベル賞学者にその研究は社会にどう貢献するのかと聞いたのを見て、そう問うのは「社会のための科学」であり、それ以外に「科学のための科学」もあることをキャスターも認識してほしいと語っている件である。一般の方の科学に対する理解不足を嘆くのは、最近あった事業仕分け後に見られた科学者の反応とも共通するところがある。その前に科学の側が考えるべきことがあるのではないだろうか。例えば、「科学のための科学」をどのように捉えるのか。貢献すると言う時、それは何に対してなのか。科学的な思考を教える科学では社会に貢献したことにならないのか。これらの「科学のための科学」の存在意義を思索した上で、それを社会に訴えかけること。これこそ、科学の側がいくらやっても充分ということはないだろう。その認識が科学の側に不足しているように感じながら、新春のお話を読んでいた。

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