dimanche 24 novembre 2013

コロンビア大学での医学哲学会議から (2)

Prof. Ross Upshur (Univ. of Toronto, Canada)


二日目の話題として、ロス・アップシャー(トロント大学)博士の基調講演を取り上げてみたい

プライマリ・ケアの忙しい現場で仕事をする中で考えてこられた生命倫理の専門家でもある

タイトルは、Anamnesis, or the Question of the Question 

病歴を取る時に行う問い掛けに関する問い掛けであった


病歴を取るとは、患者さんの過去について思いを馳せること(リフレクション)である

それをさらに進めると、医学について考える(リフレクト)することにも繋がる

医学は何のためにあるのか

証拠(エビデンス)と言うが、それはどれだけ有効なのか

患者さんの病歴をどのように扱うのか

医学における理性的思考とは、どういうことを言うのか、などなど

医学においては、理性的で厳密な思考から倫理に叶った医療へと向かわなければならない

つまり、すべての医療関係者は応用哲学者(applied philosopher)であることが求められる


近年、人口における高齢者が増加の一途を辿っている

年齢が増すにつれて、複数の慢性疾患を持つ人も増える傾向がある

カナダでは、80歳以上の10人に一人は5つ以上の病気を持つという

医療関係者は、必然的に高齢者を対象にしなければならない状況が続くことになる

アップシャーさんは、老人が嫌いな人は医療に入るべきではないと強調していた

また、医療が病気にとって良いものなのか、患者さんに対して良いものなのかを考えること

昨日も問題になっていた科学と価値の対立である


そしてタイトルに戻ると、70%~90%の診断は病歴によって決まる

それほど重要な病歴にも拘らず、哲学の対象になっていないという

病歴を取る時に重要になるのは、どのように問いを繋げ、進めていくのかということ

さらに言えば、どのような問いを出すのかが医療の質を決めることになる

 ドイツの哲学者ガダマー(1900-2002)は、問いを出すことについてこう言っているという

「問いを出すとは、可能性の扉を開け、開いたままにしておくことである

疑問を出すことなしに、われわれは経験することができない

問い掛けることにより、問題にしていることをあるパースペクティヴのなかに入れるのである

問いの技術とは、問いを続ける技術であり、それは取りも直さず思考の技術なのである」


問いの重要性を考える時間となった



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